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死者からの手紙「東京医大カテーテル誤挿入事件」顛末記その2(真夏の夜の悪夢)

暑い夏がやってきました。そこで今日は患者家族の皆さんに大事なお話をしたいと思います。

医療態勢が手薄になる時期

8月に入るとお盆休みに掛けて医療関係者も夏休みをとり始めます。これは年末年始も同じです。入院していると良く分かりますが、夏休みや年末年始は極力入院患者を自宅に戻し、急患以外は入院させません。あちこちのベッドが空き始めるのです。医療態勢は手薄になり、その穴埋めを研修医や実習生がすると思って良いでしょう。この時期、勤務にあたる医師たちも猛暑で睡眠不足。今年は深夜にロンドンオリンピックがあるので寝不足の医療関係者が周囲にいると思って気をつけましょう。

真夏の夜の悪夢

私の手術も8月上旬でした。しかも月曜ボケのブルーマンデーです。これが悪夢の始まりでした。大静脈に入れるべきCVカテーテルを全く血管に入れてしまった医師も若ければ、術後の経過観察をした宿直医も若い。しかも深夜、苦痛を訴えても寝るのが優先?なのか看護師に電話で指示するだけ。なかなか来てくれない・・・。結果的に医療態勢が甘かった時期に入院したのが失敗でした。ではなぜこんな時期に入院してしまったのか・・・それはこうです。

なんでこんな時期に手術をしてしまったのか

手術の時期を医師と打ち合わせた時、こんな話が出ました。
「このところ、何でこんなに手術が多いんだろう。企業が春の定期検診をやって病気が見つかり、丁度この時期に手術が集中しているような気がする」
ここまでは問題ありません。次が後で考えると問題でした。
フルスタッフが揃わないけれど8月X日にやりましょう。」
そのとき、主人が医師に尋ねました。「腫瘍は放置して置くとどの位変わりますか?」その答えは確か「10日で倍くらいに大きくなります」と。
それで「これは急がなくては行けない」と思ったわけです。
でも「フルスタッフが揃わないけどやる」という件が問題ですね。スタッフが揃わなくてもこの病院は手術を強行するの???そんないい加減なの???

病院を盲目的に信用しないで!

ちょっと話を変えましょう。入院する前、私は主人から2〜3注意を受けました。
(1)白衣を着ていると皆プロらしく見えるけど外観だけで判断するな。
(2)病棟をあたふたと走り回っている看護師は一見真面目に仕事をしているようにみえるが、慌て者でミスが多いと疑え。
(3)点滴や注射の間違いがあるから、何の薬か必ず聞け。ラベルに名前が書いてあるからフルネームで確認しろ。同姓の患者が同じ病棟にいる場合もある。
私は言われるままに注意しました。でも事故は私の手の届かないところで起きたのです。カテーテル誤挿入、しかも直径3〜4cmもある大きな静脈に全く入っていない(司法解剖結果)のですから。こんなの、若い医師の技能不足ですよ。不器用な人は外科医なんかなっちゃ駄目!
更に、経過観察室に主人が来たとき「この首から入れている管は何?」と尋ねていました。その時「これは点滴を入れやすくする為です。あとはこの実習生がしっかり見ますから任せてください。この部屋は狭いから早く家族の人は出てください」と言われたのです。
経過観察室にも実習生が配置されていたわけです。一体何が「しっかり見ますから任せてください」なの!!! 10数時間後、経過観察室にいたのに呼吸、心拍停止じゃないの!!!何が経過観察なの????
皆さん!医療関係者が夏休みをとるこの時期の入院や手術には気をつけてくださいね。自分で自分を守るしかありませんよ。納得がいかなかったら徹底的に聞いて、それでも駄目なら上司を呼んで説明させてください。私の体験談を参考に皆さん、くれぐれもご注意を。
では次回まで命をお大切に。(死者からの手紙、その2)

「今の医療を考える」(非会員・寄稿)

非会員の方からご投稿頂きましたので原文(句読点、色、太字指定を含む)のまま掲載させて頂きます。ご投稿ありがとうございました。
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<初めに>
一般的に 人間が手で施す行為には ミスは在りうると言えることでしょう。  
医療も同様で 医療事故に関心のある私は度々このブログを拝見しておりますが 読めば読むほど昨今の社会情勢に合致するような気がして 少し考えてみました。

常々感じていることは患者は個人であるけれど 医師は個人であると同時に権威化された組織にも所属しており 「対等な立場ではない」 という厳然たる事実があることです。司法が国民の目線から見て 必ずしも公平な判断をされるような場でもなく 前例に沿うケースは医療裁判だけではなく 全ての判決に言えます。医療事故裁判において過去の判決を挙げてみれば 患者側と 医療側と どちらが有利に偏っているのかを見れば明らかです。

<原因の背景>
民主主義社会が必ずしも公正であるとは限らず 49対51でも多数に従う という価値観に重きをおくことで 近代社会はここを原点に発展してきたことは 大きな成果であることは否めないことでしょうが 権威というのはこの延長上にあることで 経済的権威も 同様にして生まれるものでしょう。
つまり 昨今の諸問題を鑑みると 政治も経済も教育も 現在行きずまっていることは周知のことでして 相対的に科学のみが発展し続け それに社会が追い付いていけなく 益々そのギャップは広がり その結果として社会問題が深刻になっていくように見えます。
敢えて数例を挙げれば・・

 ・人災と断定された原発事故
 ・「政策エネルギー・環境会議意見聴取会」なる会を催して如何にも民意を聞いているが如く無能な政治。
 ・当然である「第三者医療事故調査機関」設置を渋る医療界。
 ・大津に於ける中学生自殺事件をはじめとした教育界の愚かさ。
 ・不得手な経済政策を正さない政治
 ・SNSの発展のメリットは大きいが 害も大きい
 ・一般的なモラルの低下
 ・毎日のようにTVで見掛ける「誰が責任者か不明な 大勢が頭を下げる謝罪会見」つまり当たり前になった責任逃れの蔓延

ここに共通しているのは 飢餓の無い豊かな社会に於ける無責任性でしょう。
 
<提言>
今問われているのは こういう時代に合った社会制度の在り方だと思います。
従って 医療事故の課題に戻れば 医師資格の更新制度とか 医療費に極僅かの課金をして保険救済をする等の個々のテーマもありますが・・ 
1)先ずは医療界をオープンにして 一定のルールに元づく良い意味の競争社会にしていくことで 改善が進む。それは医療界は守られてますので 保身になりがちになり 患者が不利にされることは否めないからです。
具体的には・・
1. 外国人医師を一定の条件を満たした上で認可する。
2. 看護師と医師との境界を埋める職種を設けて結果的に医師自身の持ち時間を増やす。
これらは 一部の例ですが 似た例を挙げれば歯科医の数が増えたことで 一種の競争状態になったように 同様の効果が生まれるかと思える。

2)次に医療事故に於ける救済策としては 組織に対してほぼ無力と言える「個人」である患者に対して救済手段の制度を確立する。健康保険が最も進んでいる日本ですが 救済を含めた制度設計の時期に来ているように思えます。

3)更にまた 心のケアの制度はもっと重要でしょう。裁判等で公的に決着が付いたとしても 患者の心の整理は別問題でしょうから この点も大いに具体的な制度を設けることが肝要かと思います。
そこに 仁術としての医療も開かれていくものかと思えます。

以上3点を挙げましたが 医療に於いて「病気を治す」という行為は 患者も医師も その目的は共にあるはずですので・・この本来の「共通目的」を忘れないようにしたいものです。

非会員・寄稿

二人の医師「聖路加国際病院・細谷亮太副院長」「新葛飾病院・故清水陽一院長(東京医大OB)」

下段('12/7/5)に「聖路加国際病院・細谷亮太副院長」講演会の様子を掲載しましたが、今朝(7/10)の産経新聞「産経抄」に同氏に関する記事があるので紹介します。
以前('11/9/17)このブログで取り上げた新葛飾病院・故清水陽一院長(東京医大OB)と共に、彼らのような医師が一人でも増えることを私たちは願っています。

★聖路加国際病院・細谷亮太副院長(東北大医学部OB)
 産経新聞「産経抄」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120710/crm12071003080004-n1.htm

(又は下記more...をクリック)

★新葛飾病院・故清水陽一院長(東京医大OB)
http://iryoujikonet.dtiblog.com/blog-entry-81.html

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「聖路加国際病院・細谷亮太副院長」自らを語る

今夜(7/5)都内で聖路加国際病院・細谷亮太副院長が「いのちの傍らで」(〜おとなと子ども〜)と題して講演しました。
幼少体験を披露しながら、子どもと共感できる小児科医の道を選んだこと、NHKの一年間に及ぶドキュメンタリー制作、父(医師・他界)母や日野原重明院長とのやり取りなどが紹介されました。
最後に赤ひげの話を引き合いに出しながら「医師は死を きっちり見ることが大切である」とした上で「皆さんも身内や友人の死と向き合って自分なりの思いをめぐらしてください」と穏やかな口調で締めくくり、交歓会に移りました。 

講演する細谷亮太氏と会場風景(会員・非公開)
 
細谷氏の著書は多数あります。Amazon等でご確認ください。

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